| １９７０年、ベアズヴィル・レコードはピーター、ポール＆マリーやボブ・ディランのマネージャーだった設立者のアルバート・グロスマンが居住していたニューヨーク州アルスター郡のウッドストックで設立されました。
「ウッドストック」といえば６９年８月１５〜１７日に開催されたフェスティヴァルで有名ですが、元より１９０２年から芸術家のコロニーが形成されはじめた多くの画家が住む美しいところで、避暑地としても発展をとげたのですが、日本でも軽井沢が町の名前を越えて避暑地全体をさすように、ウッドストックといった場合もこの避暑地一帯をさすことが多いようです。
ですからベアズヴィルはウッドストックで設立と書きましたが、ネーミングからみておそらくそこは、ウッドストック町に近接するベアズヴィルという小さな村になるでしょう。
また商売上のオフィスはニューヨーク・シティだったかもしれません。 当初はアンペックス社へ原盤供給するプロダクションでしたが、この契約アドヴァンスによりグロスマンは自宅敷地内にスタジオを建設し、トッド･ラングレンをハウス・プロデューサーとして迎えすぐにレコード会社となっています。
ベアズヴィルとは直接関係はないのですがウッドストックについて整理しておくと、グロスマンが移り住んだのは６４年、翌６５年に新婚生活を送るためディランが住んで、ディランが直前に行ったワールド・ツアーのバックバンドだったホークスのメンバー、ガース・ハドスン、リック・ダンコ、リチャード・マニュエルの３人が「ビック・ピンク」とよばれる家で共同生活をしたのが６７年になります。
結婚していたためグロスマン邸のキャビンに住んでいたロビー・ロバートソンを加えたディランとの「ベースメント・セッション」は４月にははじまっており、１０月末になるとリヴォン・ヘルムも参加。
ホークスはザ・バンドとなって６８年７月に『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』を発表しています。
で、フェスティヴァルがありベアズヴィル設立が続くと。 「芸術は生活と作品の一致」的なムーヴメントがあって開拓されたウッドストックでしたが、代表的ギタリストというイメージがするエイモス･ギャレットは、そういう雰囲気が嫌いだったという話もあると。
一方、ミュージシャンが創作活動に専念できる環境というコンセプトで、ベアズヴィルという地名をレーベルにまでしたグロスマンは最後までその地を愛し、８６年にイギリスに向かう飛行機のなかで帰らぬ人となりました。 1）レーベルデザインの遍歴をみるという主旨により、原盤所有権のありどころは考慮しておりません。 2）レコード・リストは現在のところ筆者とＨＹさん所有するタイトルでできています。 3）ＨＹさんのコレクション・プロフィールはMY RECORD HUNTING DIARY/２００３．２．９にてご紹介中！ 4）あなたのお持ちのレコード情報やご質問、私の事実誤認がありましたらご指摘ください。 その他どんなことでも結構です情報提供をお待ちしております。 |
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ベアズヴィルは１９７０年にテープレコーダーで有名なアンペックス社が設置したアンペックス・レコード（後述）への原盤供給を行う制作会社（法人格はない？）としてスタートしました。 当初はそのアンペｯクスのレーベルが使われていましたが、同年中には下記のように表示された専用レーベルをもって登場しています。 またベアズヴィル・レコード・プロダクションとあるのも確認できます。 ベアズヴィルを日本語にすると「熊ノ里」という感じかなと思いますが、実際に熊が出たんじゃないかなあ、トレードマークには熊のイラストが使用され、よく見るとＢＥＡＲＳＶＩＬＬＥの白いロゴが歯になっていて愉快です。 DISTRIBUTED BY AMPEX RECORDS 555 MADISON AVENUE, NEW YORK CITY 10022 これがオリジナルとなるタイトルは、リストにあげた２枚だけでしょう。
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１９７１年、プロダクションからレコード会社となったベアズヴィルは製造配給もワーナーブラザーズに変更しています。 これによりレーベルは若干のデザイン変更とともに企業表示も下記のように変わっています。 元々アンペックスが配給網をもっていたわけではなくワーナーブラザーズに委託されていたという話が正しければ、その関係から直接契約に移行したと考えられます。 DISTRIBUTED BY WARNER BROS. RECORDS, INC./ A SUBISIDIARY AND LICENSEE OF WARNER BROS., INC. では、終了時期を特定するためジャケットの表示を追ってみましょう。 ７３年までは同時代のワーナーブラザーズと同様の表示がされていますが、７４年にはベアズヴィルの所在地が表示されるようになりました。 また、(C)もＷarner Ｂros. Ｒｅｃｏｒｄｓ, Ｉｎｃ.からＢＥＡＲＳＶＩＬＬＥ ＲＥＣＯＲＤＳに変わっています。 manufactured by Warner Bros. Records Inc., 75 East 55th Street, New York, New York 10022 ７６年にはこれにワーナーコミュニケーションズ表示が加わっています（ワーナーブラザーズ参照）。 (C)もＢＥＡＲＳＶＩＬＬＥ ＲＥＣＯＲＤＳですが、レーベルに戻ってみると(P)もＢＥＡＲＳＶＩＬＬＥ ＲＥＣＯＲＤＳになっていました。 75 East 55th Street, New York, New York 10022 Manufactured by Warner Bros. Records Inc., a Warner Communications Company (W)
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企業表示がないレーベルがあると。 ワーナーブラザーズ・レコードがレーベルに親会社のワーナーコミュニケーションズのグループ表示をするようになったのが１９７５年だから、やはりこの時にベアズヴィルにも変動があったかとは思うのですが、従来あった企業表示が消えるというのはベクトルとしては反対ですからどうも納得できません。 製造配給が従来どおりワーナーだったのは明らかで、消えるなら消える理由がまたあるはずです（カプリコーン参照）。 そこで先のようにジャケット等を確認して気づいたのが、下記の７６年から始まった表示ｍａｎｕｆａｃｔｕｒｅｄ ｅｘｃｌｕｓｉｖｅｌｙでした。 (C)から(P)までの権利をワーナーから自社に移しながら、契約期間５年が経過したところで改定にもち込んだ（込まれた？）と考えられます。 それが７６年に企業表示が消えた原因です。 <７６、７７年、７８年> 75 East 55th St., New York, New York 10022, manufactured exclusively by Warner Bros. Records Inc., a Warner Communications Company (W) <７８年> 75 East 55th Street, New York, New York 10022/8467 Bevery Blvd., Los Angeles, Calif. 90048 manufactured exclusively by Warner Bros. Records Inc., a Warner Communications Company (W) <７８、７９年> 75 East 55th Street, New York, New York 10022/8467 Bevery Blvd., Los Angeles, Calif. 90048/ Wittenberg Road, Bearsville, New York 12409 manufactured exclusively by Warner Bros. Records Inc., a Warner Communications Company (W)
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ワーナーブラザーズ時代だけでも少なくとも３タイプのレーベルが存在し、第３期に該当するのが下記の表示がされたものでしょう。 発見当初は企業表示が復活などとは考えられず場所的なヴァリエーションだと推測したのですが、ジャケットにもｍａｎｕｆａｃｔｕｒｅｄ ｅｘｃｌｕｓｉｖｅｌｙではなくＭａｎｕｆａｃｔｕｒｅｄ＆Ｄｉｓｔｒｉｂｕｔｅｄとあったため、時代的な意味があると判断しました。 というより、これがジャケットで１期２期の時代特定もできる可能性に気づかせてくれたのです。 第３期開始は今のところ８１年と考えていますが、先の契約同様に期間は５年だったのではないかと類推しただけです。 と、そこまでたどりついたところで第２期にリストアップした『タイト・シューズ』。 実はジャケット表示はＭａｎｕｆａｃｔｕｒｅｄ＆Ｄｉｓｔｒｉｂｕｔｅｄだったのです。 これで当然気づかねばならなかったことにやっと気づいたというわけです。 同義とはいえ、本当に注目すべきはカタログ番号の付番システムでしょう。 ６９００番台は第２期、３５００番台以降が第３期と整理するのが最も適当だと判断します。 終了はベアズヴィルが実質的な活動を停止した８３年になるはずですが、ワーナーコミュニケーションズ表示がされたレーベルも一度見たことがあるような気もするし、皆様からの情報をお待ちしております。 Bearsville Records Manufactured & Distributed by Warner Bros. Records Inc. 3300 Warner Blvd., Burbank, Calif. 91510
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AMPEX |
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AMPEX RECORDS, 555 MADISON AVENUE, NEW YORK CITY 10022
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| 2008.08.25 |
