PANAM

パナムは日本クラウンの社内レーベルとして１９７０年に設置されました。 クラウンといえば設立の経過からして演歌でしょう。 その演歌のクラウンが７０年代若者用レーベルとして位置づけたものがパナムだったはず。 周辺表示であるゴールデン・シリーズの意味は不明です（ゴールデン・シリーズ＝パナムだったのか、ゴールデン・シリーズ∩パナムか？そのへんは他のクラウンのレーベルを見る必要があるでしょう）。 かぐや姫とかイルカとか、クラウンらしい人選といえばいえる個人的には好ましくない音楽をする人たちが本流で、これにティン・パン・アレー系を加えればほぼ全容という非常に小規模なレーベルだったようです。 もしも前者に絞っていればレコード･コレクトエラーズの視野には入らなかったでしょうが、きわめて個性的で独自のカラーをもったレーベルと評価できたと思います。 クラウン自体も面白くてインディとは言えないまでも意外にも独立系で、ミュージシャン本位の制作というコンセプトをもっていたようです。 そんなことからティンパンの契約があったのかもしれません。 ともあれ布陣としては強力でヒット割合は高く、確かに７０年代を象徴するレーベルだったんだと俯瞰してみて思いました。 1）レコード・リストは現在のところ私の所有するタイトルでできています。 2）あなたのお持ちのレコード情報やご質問、私の事実誤認がありましたらご指摘ください。 その他どんなことでも結構です情報提供をお待ちしております。

Blue/I　1970-73 ブルー（第１期） パナムが日本クラウンのサブ・レーベルとして設置されたのは１９７０年で、カレッジ･ポップス系のシングルヒットを集めたＬＰがリリースされています。 ７３年まで使用されたレーベルは青地に銀色でＰＡＮＡＭとロゴが打たれたシンプルなもので、当時の社名である日本クラウン株式会社がジャケットに記載されるとともに次のように表示されていたと考えられます。 　MADE BY NIPPON CROWN CO., LTD. GW4003 南高節とかぐや姫 レッツ・ゴー！かぐや姫* 1971 BuzzyBee GW4004 かぐや姫 はじめまして 1972 BuzzyBee GW4007 かぐや姫 かぐや姫さあど 1973 BuzzyBee ところが筆者所有の『レッツ・ゴー！かぐや姫』のジャケットの表示はクラウンレコード株式会社（後述）となっています。 おそらく１９７５年頃の再発盤で、この頃に書き換えが行われたと思いますが、そもそもジャケットとレーベルの不一致があることで始まったパナムの旅ですので、本当の初回盤を見たいところとなっています。

Blue/II　1974 ブルー（第２期） ということで１９７４年に日本クラウン株式会社からクラウンレコード株式会社へと社名変更があったと筆者は推測しています。 ジャケットの表示はクラウンレコード株式会社へ、レーベルにおいては次のように変化してるのが確認できるでしょう。 　MADE BY CROWN RECORD CO., LTD. 時代の進展とともに様々なメディアを扱いはじめたレコード会社は、やがて社名から「レコード」を外すというのがパターンですが、クラウンは反対だったと。 このときはじめて自社でプレス工場を持ったのか単なる創立１０周年記念だったのかといらぬ妄想が始まります。 ところが２００８年現在、再び日本クラウン株式会社へ戻っています。 このため『グレイ・スカイズ』への疑念がわき（後述）、逆上した筆者かぐや姫まで買うという顛末。 GW4008 かぐや姫 三階建の詩 1974 BuzzyBee

Blue/III　1975-76 ブルー（第３期） １９７５年から使用されたレーベルは同一デザインながらＰＡＮＡＭのロゴが小さくなったと考えます。 ただ、元々２色しか使っていませんから先に「ロゴ入りの台紙を作っておいた」可能性より、青はともかく銀色の「ロゴとタイトルは同時に印刷された」可能性が高いわけですから、時代的な意味はなくタイトル固有の問題なのかもしれません。 傍証となる青の色合いの差も可能性としては場所的なものとすべきですから、根拠は筆者が見てきた範囲以上のものではありません。 さて、リスト中*はカスタムレーベルです。**の２枚は同じデザインでパナムの文字もなく、あたかもティン・パン・アレー・レーベルといった趣ですが、ジャケットと帯にはパナムのロゴがあり、ティン・パン・アレーがレーベルを設立した記録もないですからあくまでシャレということでしょう。 　MADE BY CROWN RECORD CO., LTD. 企業表示に変化はありませんが、先に書いたように筆者所有の『グレイ・スカイズ』はＮＩＰＰＯＮ ＣＲＯＷＮ表示になっています。 これが悩みのタネとなっわけですが、現在は単純なミスという理解をしています。 GW4011 鈴木茂 バンド・ワゴン 1975 BuzzyBee GW4012 細野晴臣 トロピカル・ダンディ 1975 BuzzyBee GW4013 風 ファーストアルバム* 1975 BuzzyBee GW4017 ティン・パン・アレー キャラメル・ママ 1975 BuzzyBee GW4020 イルカ イルカ・ライブ 1976 BuzzyBee GW4021 細野晴臣 泰安洋行** 1976 BuzzyBee GW4022 鈴木茂 ラグーン** 1976 BuzzyBee GW4023 大貫妙子 グレイ・スカイズ* 1976 BuzzyBee

Starry　1977-87? スターリー １９７７年になるとレーベルは一新されました。 「星空にロゴを満月のように配した」デザインといってもいいのでしょう（この丸ロゴ自体は以前からありました）。 先に書いたように『泰安洋行』と『ラグーン』は一種のカスタムレーベルで、『グレイ・スカイズ』もそうでした。 このあと７６年に発売された残る２枚のＧＷ４０２４とＧＷ４０２５もカスタムです。 で、７７年の『ムーンライダーズ』もカスタムです。 ではなぜこのレーベルの使用開始を７６年と７７年で切り分けたのか？ それはＰＡＮＡＭの新しいセンター・ロゴが初めて使用されたのが『ムーンライダーズ』の帯だったからです（レーベルとジャケットにはありません）。 そしてパナムはおそらく７９年に一度閉鎖されたにもかかわらず、８０年に復活し「スターリー」が８７年まで続くという特異な歴史をたどったようにみえます（オープリートに続く）。 　MADE BY CROWN RECORD CO., LTD. 『グレイ・スカイズ』のレーベルはカスタムにした意味がわからないほど汎用的デザインであり（現に「スターリー」盤も存在する）、先に見たようにカスタム・レーベルが続くなかでの発売ということを考えあわせると、時期的にも実はカスタムのつもりはなくパナムの新レーベルになるはずだったと筆者はにらんでいます。 試験的に使われたという言い方ができるかもしれません。 ただし、物的証拠だけで考えれば筆者が所有するのが再発盤と言わねばなりません。 GW4026 ムーンライダーズ ムーンライダーズ* 1977 BuzzyBee GW4029 大貫妙子 サンシャワー 1977 BuzzyBee GW4032 ティン・パン・アレー ティン・パン・アレー２ 1977 BuzzyBee GW4034 ムーンライダーズ イスタンブール・マンボ 1977 BuzzyBee GW4043 ムーンライダーズ ヌーベル・バーグ 1978 BuzzyBee GWP1004 沢田聖子 青春の光と影 1981 BuzzyBee GWP1035 イルカ ハートランド 1985 （整理上）

ORPLID

Big Bird　1979-80 クラウンの７０年代ポップス対策レーベルがパナムだとしたら、８０年代用レーベルとして用意したのがオープリートでした。 １９７９年のオープリート設置とともにパナムの実質的な制作活動は中止され、当時契約のあったアーティストはそっくりオープリート所属になったようです。 南こうせつや伊勢正三、イルカだけでなくムーンライダーズしかりです。 ところがこの新レーベルは２年を待たず消滅し、なんとパナムが復活してしまうという展開になったようにみえます。 そして復活後のパナムに戻ったのがイルカで、南こうせつ、伊勢正三はキャニオンへ、ムーンライダーズはＲＶＣへと契約を移しています。 ここまでそろうと妄想は止りません。 こりゃクラウンに内紛勃発、レーベルディレクターの交替劇があったはずです。 オープリートのデザインは派手で初見のインパクトは強いのですが、極端な色彩が打ち消しあって垢抜けない。 復活したパナムは何事もなかったように「スターリー」を使っている。 ＯＲＰＬＩＤとはドイツの詩人が詠った「理想の島」ですが、普通知らんし読めんだろうと思うし、ＰＡＮＡＭの意味もわからない。 どちらも第三者的にみればクラウンらしいというお話ではあります。 　MADE BY CROWN RECORD CO., LTD. OPL1002 レーベル・サンプラー オープリート 1979 BuzzyBee OPL1006 ムーンライダーズ モダーン・ミュージック 1979 BuzzyBee OPL1008 沢田聖子 坂道の少女 1980 （整理上） OPL4001 ムーンライダーズ カメラ=万年筆 1980 BuzzyBee

ABCAMPEXSARISTAASYLUMATCOATLANTIC BEARSVILLEBELLWOODBLUE HORIZONBLUE THUMB CAPITOLCAPRICORNCBS/SONYCHARISMACOLUMBIA DECCADERAMDOUGHNUTDUNHILLELEKTRAEPICEXPRESS HARVESTISLANDJETORPLIDPANAMREPRISE SHOWBOATTHRESHOLDURCVERTIGOVIRGINWARNER BROS.

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2008.05.08